「デジタル辞書の現在とこれから」第4回は「価値ある情報には適正な対価を」。“オンライン辞書サービス”の話です。
※このブログ連載は、2022年7月の日本電子出版協会(JEPA)セミナー「デジタル辞書の現在とこれから」の内容を、(我ながら呆れるくらい駆け足でしたので)補足しながらまとめなおしたものです。
2001年の豊穣
2001年はオンライン辞書サービスにとって画期的な年だったと言えます。
2001年1月、「三省堂Web Dictionary」がスタートします。『大辞林』『新明解国語辞典』『エクシード英和辞典』『~和英辞典』『クラウン仏和辞典』『~独和辞典』『コンサイス日本地名辞典』など16タイトル120万語を収録する有料の辞書検索サービスです。年会費2000円でしたが、『デイリーコンサイス英和辞典』『~和英辞典』『~国語辞典』は無料で利用できました。残念ながら2020年9月にサービスを終了しています。
2001年4月、「ジャパンナレッジ.コム」がスタートします(いつのまにか「.(ドット)コム」は言わなくなりました)。『日本大百科全書』『大辞泉』『プログレッシブ英和中辞典』などの辞書・事典のほか、URLディレクトリ「ニッポニカURLセレクト」、オンライン書店「bk1」の書籍データ、「NNA アジア経済情報」など、多様な情報ソースを“ワンルック検索”できることを特徴としていました。入会金2000円、月会費1500円でした。
そしてもうひとつ。2001年5月には「ウィキペディア日本語版」もスタートしています。この時を起点に、2003年1万項目、2005年10万項目、2016年100万項目、と成長していきます。
ポータルサイトの辞書サービス
この頃に前後して各社ポータルサイトが競うように辞書検索サービスをスタートさせています。
1999年
「goo辞書」:『大辞林』『EXCEED英和・和英辞典』
2000年
「Yahoo!辞書」:『新辞林』『デイリーコンサイス英和・和英辞典』
2001年
「asahi.com」辞書検索:『大辞林』『EXCEED英和・和英辞典』
「infoseek辞書」 :『大辞林』『EXCEED英和・和英辞典』『現代用語の基礎知識』
「エキサイト辞書」:『大辞林』『新英和中・新和英中辞典』
2002年
「BIGLOBEサーチ辞書検索」:『大辞林』『デイリーコンサイス英和・和英辞典』
「Lycosディクショナリ」:『大辞泉』『プログレッシブ英和・和英辞典』『日本大百科全書』
2003年
「@nifty辞書」:『大辞林』『EXCEED英和・和英辞典』
2004年
「MSN辞書」:『大辞林』『EXCEED英和・和英辞典』
「livedoor辞書」:『大辞泉』『プログレッシブ英和・和英辞典』
しかし便利はもろ刃の剣。このポータルサイトへの集客を目的としたサービスの影響で、ネットユーザの間で“辞書は無料”のイメージが定着してしまったことは否めません。